トイ・プードルの環軸椎不安定症

[神経疾患] 2016.11.25

・環軸不安定症は主に若齢の小型犬に好発する外科的脊椎疾患として有名です。比較的若齢での発症が一般的ですが中には中齢以降で発生する症例もあります。その診断方法や治療法に関して多くの知見が得られています。

胎生発生学的に頭蓋骨後頭骨領域、環椎そして軸椎は同時に発生することが知られており、現在では頭部頚椎接合部に発生する先天性の形成異常の疾患を総称して頭部頚椎接合部奇形と呼ばれるようになってきています。

今回の症例では腹側アプローチの変法(Andy Shores 2007)により環軸椎間を露出してマルチプルピン法(Takeshi Aikawa 2013)により固定しました。

現在も経過は非常に順調である。

 

術前レントゲン;

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レントゲンより軸椎の背側棘突起と環椎間にて間隙があり、VD像にて歯突起の低形成が確認されました。MRIでも環軸椎間にて脊髄の高信号があり典型的な環軸椎亜脱臼症と判断されます。また、この症例では環椎の頭蓋内への陥入があり環椎後頭骨オーバーラッピングが存在すると思われました。人医療とは異なり動物に対する治療はまだわかっていないために環軸関節の固定のみを実施しました。

 

術中透視像;

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術中にCアームを使用してピンが脊柱管内に入り込んでいないかを確認しているところです。

 

術後レントゲン;

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4本のφ1.1mmのポジティブピンとセメントを使用して固定しました。


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